放射性物質廃棄物の中間貯蔵施設、もしくは最終処分施設建設について、賛成と反対の意見が決着が見えない論争となっている。
菅直人前首相が先に、福島県内に設ける方針を示したことから始まった。それに対して、福島商工会議所会頭の瀬谷俊雄・東邦銀行相談役が先日、記者懇談会で「受益者は東京。お台場にでも造ったらどうか」と述べた。
ただ「ごみは出た場所で始末するのが原則。福島第一原発の敷地内に移すしかない」とも語っている。
次に、細野豪志原発事故担当相が中間貯蔵施設について、一部は第一原発内に置き、最終処分場については、福島県外に置く方針を示した。福島県民の心情を慮った発言ではないだろうか。
地元紙・河北新報の社説は「最終処分場にしないことを明言したとはいえ、県外に施設を造るのは容易ではない。福島の廃棄物を受け入れるところがあるかは不透明だ」としている。受け入れる場所についての具体案がないことを厳しく指摘している。
東京電力の福島第一原子力発電所の総敷地面積は約350万平方メートル。すべての敷地うを使えるわけではないが、土地取得が容易な上に、相当量の汚染物の保管や処分場建設も可能ではある。
また、地元では、福島第一の周辺住民が土地取得を持ちかけられたとの話も伝わってくる。ただ、周辺住民は中間貯蔵施設が最終処分場の代替えになることも恐れている。
事故から約半年が経過した今となっても、話は具体的になってこない。