東京電力福島第一原発事故の賠償請求書類が内容が複雑だとされる問題で、日本弁護士連合会は煩雑な手続きを「請求を断念して泣き寝入りする被害者が発生することも懸念される」と批判した。
被害者約6万世帯に送付された書類だが、160ページにも及ぶ分量で、内容的にも専門用語が数多く、記入が必要な書類も複数ある。しかも、返送してから賠償金を受け取るまでに約1カ月かかるのだという。
書類の目的を「被害者にとっての書きやすさより、東電側の負担を軽減することを念頭に置いて作成されている」とし、高齢者、障害者らが記入することは困難だとしている。
また、事前に承諾書として、診断書、カルテ、検査記録など損害賠償の相手方である東京電力に提供することを求めているが、「不法行為の加害者が、被害者のプライバシー情報を取得することを当然と考えるような請求手続は、今回の事故の実情に照らせば、被害者の理解を得られないと考える」と厳しく批判した。
こうしたことを踏まえて、日弁連は、原子力損害賠償紛争解決センターへの申立てや裁判所に対して訴訟を起こすという選択肢があることを提示している。