お金で教育ルールを変える大富豪

理事長になり自分が好きな科目をスタート


写真は本文とは関係ありません
 中国人の祖先を持つある富豪。中国語は話せないが、中国人としてのアイデンティティーはとても強く、その熱意が教育に向かった。

 自分の子供に中国語を習わせたいがために、息子が幼稚園から中学まで通う間、各校に毎年1000万円以上を寄付。そして、息子の中学の理事長に就任した。

 その中学では「中国語科設立ファンド」という名の資金1000万円を学校に寄付した。この資金で新しく教員を雇い、教科書を買い、プログラムが運営してほしいというのだ。本来この中学では新しいプログラムを設立する際には教職員が必要に迫られて提案し理事会が承認しなければならない。

 しかし、男性は理事会に「中国語科」の設立を提案するように校長に頼み込み、理事会にも根回しし設立を実現させた。

 また、初年度に中国語履修を希望したのは男性の息子を含めたった5人。通常アメリカの私立学校では生徒が少ないとプログラムを開講しないのだが、校長は「初年度だから生徒が履修に消極的だ」と返答し、それでも疑問に思う他の保護者や教員に対しては「匿名での特別基金があるから」と渋々答えていた。

 アメリカの私立学校はビジネス色が日本より強い。人気のあるプログラム、生徒を集める学科にはお金をかける。私立は独自の教育を実現できる利点がある一方、このように大富豪と学校の歪んだつながりを目の当たりにすることもある。

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