世界初となる「肥満税」がデンマークで10月から施行された。一定基準以上の飽和脂肪の含有率を超えた製品が対象で、主にバター、チーズ、ミルクなどの乳製品は対象となっている。
地元紙の報道によると、デンマーク人の約10%が医学的には肥満だとされている。食生活で、飽和脂肪酸を取り過ぎると、心疾患などを起こしやすくなると言われている。
そこで、政府は罰則規定を設けることで、“建前上”は国民に対して健康増進に取り組んでほしいということで制度設計し施行することになった。
バターであれば、1キログラムあたり、1.5ドルのコスト増となるという。10月から施行されるということもあって、9月は駆け込み需要が大きく、各商店には買い物客が殺到していたという。
こうした品目は、自国生産品だけでなく海外から輸入された食品も課税対象となるのだという。
これは、トンデモ税制か、正気の税制か? デンマークは財政的には欧州の優等生だったが、近年は様相は一変しているという背景がある。
リーマンショックが起きた2008年後半の第4四半期には政府財政は赤字に転落。政府債務残高(国と地方合わせて)は10年には対GDP比43.3%まで増加しており、これを受けて政府は11年~13年にかけて集中的に財政再建に取り組んでいる最中だ。
建前があれば、何でも増税にできてしまうのは、世界中どこの国も変わらないようだ。