東京電力の経営実態を調査する政府の第三者委員会「東京電力に関する経営・財務調査委員会」が3日、今後追加で最大8兆6000億円の資金調達が必要などとする報告書を発表した。
福島第一原発事故による賠償額は約4兆5400億円と試算。また、原発の再稼働と電気料金の値上げをしない場合は、今後10年間で最大8兆6000億円の巨額の資金調達が必要だとする見解を示した。
コスト削減額は10年間で2兆5455億円が可能と判断。そのうち人件費削減は10年間で1兆454億円、人数に直すと単体レベルで3600人(約9%)、給与(年収)は本給5%、賞与50%以上を10年間行うことで最大5210億円削減できるとした。また、福利厚生を10年間で460億円削減可能とした。
また、賠償費用の内訳としては、初年度で1兆200億円、以降は年8900億円、その他の風評被害で2兆6000億円だとしている。また、福島第一の原子炉1~4号機の廃炉費用として6100億円としているが、さらに4700億円の追加費用が必要となることを見越して1兆円以上が必要と見ている。
ただ、報告書は「著しい料金値上げを実施しない限り、事業計画委の策定を行うことは極めて困難」として、料金値上げを半ば認めるかのような見解もある。
さらに委員会内で「積み残された課題」として問題提起されたこととして、△政府と電力事業対との関係の見直し△総括原価方式に代表される電力事業に係る各種制度△制作の再検討△発送電分離の検討などがある。