部下の負けを喜んでガッツポーズ、で有名となったプロ野球中日ドラゴンズ球団社長の坂井克彦氏は、今年9月まで名古屋市教育委員長をしていた。
昨年10月から委員長に就任しており、市の広報誌によると「坂井委員長は、平成19年10月1日から委員に就任されており、マスメディアでの職歴を生かし、幅広い見識と多角的な視点から、教育委員会での審議において貴重な意見をいただいております」と就任の経緯が説明されている。
中日新聞本社では常務という役職で、「常務でも筆頭格」(関係者)と言われていた。グループのドラゴンズ球団社長に任命されたが、これは左遷にあたるとされる。
ドラゴンズの経営再建が課題であったが、その責任を落合博満監督の野球に求めた。優勝は4回、すべてAクラス。しかし、3億7000万円の年棒、就任から1度も黒字はなし。もっと安い監督をつれてくれば経費は簡単に削減できる。
経営改善の矛先を、落合監督の去就に定めたのは容易に想像がつく。監督を仇敵にしたてた形だが、坂井社長は、名古屋市教育委員長就任時に次のような言葉を語っている。
「共生という言葉があります。この社会、一人では生きていけませんから、皆と協力しながら『共に生きていく』ことは、ごく当たり前のことです。でも、『共生』とは、ただ一緒に生きていくことだけではなく、強い立場のものが、たとえ少しだけでも弱い人たちの手助けをすることで成り立っていくのだ、と教わったことがあります。教育の原点もここにあるように思います。進歩のために競争はもちろん重要ですが、まずはなごやっ子が、そして、先生、地域、親、その他教育に携わるすべての人たちが、お互い、理解を深め合い、認め合いながら『共生』していく。それがとても大事なことではないかな、と思っています」
落合監督とは、共生は無理だったのか。