ベストセラー「ブラックスワン」で有名なナシーム・タレブ氏の投資理論を実践しているファンドが今年23%のリターンをあげるなど、こうした「テールリスク・ファンド」と呼ばれるファンドが欧米で再び注目を集めている。
ブラックスワン理論で有名な米投資会社「ユニバーサ・インベストメント」は、リーマンショックが起きた08年に115%の驚異的なリターンをマークしたことで、アッと言わせた。そして、また歴史的なベアマーケットとなった今年も、23%のリターンとなるなど、もはや存在感を無視できなくなってきた。
市場が荒れて巨額の損失を抱えた状態「テールリスク」が出た際に、大きな利益が出るように運用するのが特徴。平常時の運用利回りはあまりないものの、ひとたび大波乱の相場状態になれば滅法強い。
今年に入り一時29%のリターンをあげたという、キャプラ・インベストメント・マネジメントの創業者・浅井将雄氏は「08年のリーマン危機以降、テールリスクを回避するニーズは大きくなった」と日経新聞の取材にこたえている。
ギリシャをはじめとした欧州や、米国など、もはやどこで何が起きるのかわからない今、投資家の不安心理を解消できるものの一つなのだろう。