11月27日の大阪府知事・大阪市長のダブル選挙に向け、カウントダウンが始まった。市長選は、市長へのくら替え出馬を表明して辞職した橋下徹前知事と、現職の平松邦夫市長の対決。知事選は、橋下氏が党首を務める地域政党「維新の会」幹事長の松井一郎府議と、池田市長を辞しての立候補を表明している倉田薫氏の戦いとなる。両選挙はともに、政治家としての橋下氏に対する審判となる。橋下氏が選ばれれば、「独裁政治になる」と批判する声も高まっているが、大阪の府民、市民はどんな選択をするのだろうか――。
退任メデタシで祝杯
橋下氏は10月31日、知事を退任した。この日、新聞などにコメントを求められた府職員は「3年9カ月間、大変でしたがいい勉強になりました」などと前向きなコメントをしたが、裏では祝杯を上げた人たちがずいぶんいたという。
橋下徹氏(公式サイトより)
一方、経済界関係者はこうつぶやく。「本気で府政を変えるなら、8年は知事をやらないといけない、と話したが、聞かなかった。彼にとって最終目標は国政であり、府も市も単なる踏み台にしか見えないのだろう」
全国的な名声と裏腹に、知事時代の橋下氏には批判も多い。「変革への思いは理解できるが、行政に携わる者に必要な『弱者のため』という思いはまったく見えない。政治家としての野心だけなのだろう」(40代経済界関係者)、「あの人は、カメラが入っていないときは、ひどく無愛想で横柄」(経済団体職員)という指摘もあった。
橋下氏は2008年2月、知事として初登庁したとき、府職員に向けて「あなたたちは破産会社の従業員だ」と言い放ち、退任あいさつでは「優良会社の従業員になった」と言い、自らの手腕を強調してみせた。