消滅するパナソニック電工が執念の社史編纂へ

電工の社風は永遠に死なず


 2008年10月に、創業家の名前を捨て、両社はパナソニックとパナソニック電工となり、グループとしての一体化を目指したが、パナ電工は親会社に従順になることはなかった。このため今年3月、残りの株のTOBと株式交換により、とうとうパナに完全子会社化されてしまった。

 旧松下電工の社史は、50年(1968年)、60年(1978年)、70年(1988年)と発行されてきた。実は、90年史も検討されたが、「100年を待つ」という結論だったといい、ゆえに最後の社史にかける社員の思いは強い。

 旧松下電器は、九州松下電器、松下寿電子工業など、独立精神が強い上場子会社を吸収合併してきた。これらの会社では、最後に「駆け込み社史」をつくるほどの気位は残っていなかった。「パナ電工は、松下幸之助直系。指をくわえて吸収されたりはしない」と息巻く50代社員もいる。

 それでも消滅してしまうパナ電工。その社員の8割は、1月に発足するパナの「エコソリューションズ社」に籍を置くという。

 30代の社員は「テレビで巨額の赤字を出すパナAVCネットワークス社を、救済するのが旧パナ電工の事業だ」と宣言し、「野武士的な社風は引き継いでいく」と話している。

1 2
よかったらシェアしてね!
目次
閉じる