30日の衆院厚生労働委員会で、厚労省は平成13~22年度の年金積立金の運用の収益率が年率平均1.57%、累積収益額23兆円で、同21年の財政検証で出された利回り年率4.1%を下回っていることを明らかにした。柿沢未途委員(みんなの党)の質問にこたえた。
国民年金法案の一部を改正する修正案の審議での質疑。21年度の財政検証(厚生年金などの検証)では、平成32年度以降の長期的な賃金上昇率2.5%と設定し、そこから1.6%を上乗せした4.1%を仮定の利回りに設定した。
柿沢委員が目標4.1%とされていたが、なぜ下回っているのかと理由を質問。
厚労省の榮畑潤(えばた・じゅん)年金局長は「10年間、日本株が上がらず、外国債、外国株式の為替差損もあった。株価はいい時もあり、そういう長期間の累積の結果」とした。
また「4.1%は、言わば超長期の100年間の平均で、年金の給付金の額は賃金上昇率をどの程度超えるかが大切」とした。
柿沢委員は「デフレが続いているので、賃金上昇率が2.5%にも達してしていない。4.1マイナス2.5が1.6で、それに見合う実質運用利回りがあればいいんだ、という答弁。財政検証を基にすれば、144兆円が2030年度に180兆円になっている」と、踏み込んだ。
また、年金を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」の理事長報酬は年1700万円で、柿沢委員は「民間のファンドマネージャーならあり得ない。結果が良ければ良いで、上げればいいし、成果連動の報酬体系を作ることが改善につながるのではないか」とした。
対して、藤田一枝・厚生労働大臣政務官は「賞与だが、業績を考慮して増減できるようになっている」とした。
同法人のポートフォリオは国内債67、国内株、11%、外国債8%、外国株9%となっている。