1%の家庭が全体の41.4%の富を占める中国

 このたび発表された中国・科学出版社の調査で、中国人の収入差が大きく拡大していることが明らかになった。最も収入の高いグループと最も低いグループを比べたところ、その収入差は1985年の2.9倍から2009年には8.9倍と拡大していた。とくに広東省ではその差がさらに大きく、9.49倍に達した。

 国の中の所得格差の度合いを表すジニ係数(1に近いほど所得格差が大きい)をみると、改革開放直後には0.28だったのが、2007年には0.48に上昇。その後も上がり続けていて、ついには0.5を超えている。

 世界銀行の報告によると、中国では1%の家庭が全体の41.1%の財産を所有しているという。ちなみに、アメリカは5%の家庭が全体の60%の財産を持つ。富の集中という視点から見れば、中国はアメリカよりも遥かに偏っていて、全世界の中でも、最も二極化が進んだ国家の一つと言える。

 一部の学者の間では、富の集中は社会発展の過程では避けられないことだと主張する人もいる。確かに、改革開放を進めた鄧小平は、「先富論」を唱え「まず豊かになれるものから豊かになれ。」と貧富の格差をつくることを容認した。 

 その結果、中国では豊かな人はどんどん財産を築き、貧しい人はますます落ちぶれた。富めるものへの“恨み”による事件も多く、貧富の格差は、大きな社会問題になっている。

 鄧小平が唱えた文には続きがある。「そして、落伍したものを助けよ」だ。富の再分配、経済成長を突き進む中国に、それは可能だろうか?

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