今年は富裕層への風当たりが強かった

 米イェール大学が毎年発表している「今年の名言」に、上位1~3位までを富裕層を包囲するフレーズが締めてしまった。結果は次のとおり。

1 われわれは99%だ(オキュパイ)
2 自分の力だけで金持ちになった人は誰もいない(エリザベス・ウォーレン氏)
3 わたしや友人たちは、議会に甘やかされてきた(ウォーレン・バフェット氏)


ウォール街のデモ行進
 1位はウォール街を占拠したオキュパイ。1%の富裕層に反対する象徴として、ウォール街
を占拠し、その活動が世界中に拡がっていった。

 対して、反論する富裕層も出てきた。ニューヨーカーの上位1%が40%の所得税を支払っている、とジョン・ポールソン氏は反論。ポールソン&カンパニーの社員もNY市とNY州の税を年間で数億ドル支払っていると明かしている。

 2位の発言は、ハーバード大教授のエリザベス・ウォーレン氏のもの。リベラル系で、映画監督マイケル・ムーア氏らと考えは近い。いわゆる「99%の人」をもっと尊重しろ、ということを言おうとしたもの。

 3位の発言は、今年初来日した著名投資家ウォーレン・バフェット氏のNYタイムズへの寄稿。富裕層減税は長く続いた恩恵を受けすぎてきた、と主張し、増税に協力しようと呼びかけた。

 バフェット氏は、昨年の所得が約6285万ドル(約48億6000万円)で、約690万ドルの連邦所得税を収めたことを自ら公表した。なお、増税案にはオバマ大統領が「バフェット・ルール」と名付けたほど。

 今年は欧州が財政破たん懸念が拡がり、また、米国国債が格下げになるなど、大荒れだった。経済状態が悪くなり、批判の矛先が向かった形だ。日本でも政府税調が、高所得者への所得税増税を打ち出している。消費税UPとのセットで、困った時の富裕層いじめだ。

 来年もそうしたムードは収まりそうな気配はなさそうだ。増税やねたみは、富裕層の勤労意欲をそぐだけではない。さらに、中間層でこれから富裕層になろうとする人にとっては、ハシゴを外された形でしかない。

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