中小企業経営者、2010年最大のビジネスチャンスは「上海万博」

 産業能率大学は、中小企業の経営者を対象に2010年の経営方針や採用方針などを尋ねたアンケート結果を発表した。同調査は、従業員10人以上300人以下および資本金規模3億円以下の企業経営者668人から回答を得たもの。

 調査によると、ビジネスチャンスにつながりそうだと注目している2010年のイベント・出来事で最も回答が多かったのは5月1日から中国・上海で開催される「上海万博」、2位は6月から南アフリカで開催されるサッカーの「ワールドカップ」、3位は「子ども手当て」、その後「参議院議員選挙」「バンクーバー冬季五輪」が続いた。「子ども手当て」を除くと、いずれも特需としての消費拡大を期待していることがわかった。

 この1年でボトルネックになりそうなものを尋ねた質問では、「需要の減少」が5割近い48.4%で最多。「政治の変化」が2番目に多く25.9%だった。「政治の変化」については、業種別にみると建設業と運送・輸送業では4割近くが選択した。またこの1年で取り組みたいことを尋ねたところ、回答が最も多かったのは「利益率の向上」で44.0%。その他「営業力の強化」が43.9%、「従業員の全体的な育成」が42.2%、「顧客満足度向上」が38.5%だった。

 新卒(高卒・大卒等問わず)採用の有無を尋ねたところ、定期的、あるいは不定期で行っているのは41.8%。この層に対して、今年4月入社の採用活動状況を尋ねると、「当初の予定より質・人数ともに下回っている」が21.5%、「当初の予定どおりの質を確保できたが、人数は予定を下回っている」が12.2%で、この2項目をあわせた約34%は、予定より人数が下回っている状態にあると回答した。大卒・高卒の就職内定率が前年比で大幅に減少しているなかで、中小企業の一部では、今春採用でもまだ不足感があるよう。2011年度の新卒採用では、「予定なし」は17.9%にとどまり、「積極的に採用したい」が11.5%、「よい人材がいれば採用したい」が70.6%だった。

 中小企業ならではの生き残り策としてどのようなものがあるかという質問では、「柔軟な顧客対応」が最も多く、6割を占めた。この「柔軟な顧客対応」については北海道、東北、四国では7割を超えており、地方エリアの方が回答割合が高く出た。柔軟な顧客対応に続くのは、「高品質の製品・サービス開発」(44.3%)、「ニッチ・未開市場への特化」(32.3%)だった。

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