変化する中国の富裕層が好む旅の傾向

 2月に春節(旧正月)を迎えた中国では海外旅行が大人気となり、旅行者数は過去最高を記録した。そんな中、中国の富裕層を対象の旅行が次々と企画されている。

 中国の富裕層が選ぶ旅行先といえば、一般的に海外ではオーストラリア、フランス、ハワイ、国内では中国のリゾート地である海南や雲南といった場所が上位にあがる。2009年、中国の富豪が海外や国内を旅行した頻度は2008年と比べて50%増加。出張の数も20%増加している。また、休暇の期間も10%増加した。

 こうした現状を踏まえて各旅行会社は趣向を凝らし、古い歴史を持つ紹興酒の旅、深海遊泳ツアーなど、富豪を対象にした企画を次々に打ち出している。セレブ達を対象にした旅行の中でも、特に人々の注目を集めたのが中国国内と海外の旅行会社が共同で企画した「宇宙遊泳の旅」と「トップクラス欧州旅行」だ。

 「宇宙遊泳の旅」はアメリカと香港の企業が、中国の富裕層向けに打ち出した旅行プラン。参加者は宇宙飛行士の生活を体験できるだけでなく、宇宙に出ることができる。しかし、この宇宙旅行をかなえるには、相当の費用を支払う必要がある。実際、2001年と2002年にアメリカと南アフリカの富豪が飛行した際には、2000万ドル(約18億3000万円)を支払ったとされる。

 「トップクラス欧州旅行」はイギリスと上海の企業が計画したもので、高い旅行費用にふさわしく、旅行内容は贅沢を尽くしている。旅行客は、ただフランスのパリやニース、モナコなどの観光地を巡るのではない。パリではレストラン「Maxim’s」で最高級のフランス料理を楽しみ、ザ・リッツカールトンに宿泊。ニースでは、豪華客船に乗ってモナコまで行き、モンテカルロでモーターカーに試乗する。さらには、ヨーロッパ皇室をはじめ、各界の名士、世界的な映画スターと共に夕食をするなど、ヨーロッパ貴族の生活を思う存分享受できる内容だ。

 中国人富裕層は、自分の希望どおりの旅行企画なら支出をいとわない傾向にあるようだ。

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