井の頭線が金融資産トップ、私鉄沿線別ランキング

 野村総合研究所は30日、2008年における全国約17万の町丁目ごとの世帯あたりの所得と金融資産の推計を発表した。その結果、3大都市圏の主要私鉄沿線別に集計すると、総所得では江ノ島電鉄線沿線(1世帯あたり800万円)、金融資産では京王井の頭線(1世帯あたり4,576万円)が最も多いことがわかった。

 世帯あたり総所得のランキングは、1位江ノ島電鉄線、2位阪急甲陽線、3位京王井の頭線となった。江ノ島電鉄線、阪急甲陽線のいずれも、前回調査(2008年10月)の集計では対象外となっていたが、3位(前回1位)の京王井の頭線と同様に高級住宅街を中心としたごく短い営業区間の路線であり、当該エリアの所得水準が相対的に高いことなどから上位にランクインする結果になった。4位~6位まで東京急行電鉄が名前を連ねるが、これは所得水準の高い現役世代が比較的多いこと、沿線ブランドが周辺物件の不動産相場を押し上げ高所得者が多く集まってきていることが要因として考えられる。

 世帯あたり金融資産のランキングは、1位京王井の頭線、2位東急大井町線、3位東急東横線となり、京王井の頭線が前回に続き1位となった。総所得上位の江ノ島電鉄線や阪急甲陽線が上位に入っていない理由としては、地価の違いによる影響が大きいと考えられる。同調査における金融資産には不動産は含まれていないが、相続価値や不動産所得といった形で長期的に資産水準に影響することを考えれば、地価の高いエリアほど動資産としての金融資産も高くなる傾向にある。

 金融資産の減少額(2007年末→2008年末)のランキングでは、1位近鉄長野線、2位神戸電鉄粟生線、3位近鉄田原本線となり、近畿圏で特に減少幅が大きいことがわかった。また同じ都市圏内でも郊外ほど減少幅が高い傾向にあり、内訳としては特に貯蓄性保険や有価証券の減少額が大きい傾向にあった。

 この理由としては、上位路線では特に高齢者の居住者が多く、時間が経過することで貯蓄性保険の金額が減少したこと、さらにリーマン・ショックを受けて、リスク性商品への投資を手控える傾向が強くなり、その後のリバウンド局面(日経平均が2008年末に9,000円程度まで回復する局面)での恩恵が相対的に小さかったことなどが考えられる。逆に金融資産水準上位の沿線では、預貯金額は減っているものの有価証券の額はそれほど大きく減っておらず、リーマン・ショック後も相対的に高い投資性向を持っていることがわかった。

【総所得ランキング】
路線名、沿線1世帯あたり年間所得
1位:江ノ島電鉄線、800万円
2位:阪急甲陽線、789万円
3位:京王井の頭線、772万円
4位:東急東横線、759万円
5位:東急こどもの国線、753万円
6位:東急田園都市線、741万円
7位:相鉄いずみ野線、726万円
8位:東急目黒線、724万円
9位:名鉄西尾線、712万円
9位:名鉄豊田線、712万円

【金融資産ランキング】
路線名、沿線1世帯あたり金融資産
1位:京王井の頭線、4,576万円
2位:東急大井町線、3,979万円
3位:東急東横線、3,943万円
4位:東急池上線、3,937万円
5位:つくばエクスプレス、3,821万円
6位:東急目黒線、3,820万円
7位:東急世田谷線、3,800万円
8位:都電荒川線、3,630万円
9位:東急田園都市線、3,568万円
10位:東急多摩川線、3,456万円

【金融資産減少額ランキング】
路線名、沿線1世帯あたり資産減少額
1位:近鉄長野線、222万円
2位:神戸電鉄栗生線、218万円
3位:近鉄田原本線、217万円
3位:名鉄尾西線、217万円
5位:秩父鉄道、209万円
6位:長良川鉄道、207万円
7位:近江鉄道近江本線、199万円
8位:京王高尾線、194万円
9位:名鉄津島線、190万円
10位:能勢電鉄妙見線、189万円

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