クレジットカード利用から見える中国富裕層

 中国金融大手の招商銀行は、2005年に富裕層を対象にしたプラチナカードを発行して以来、カード所有者の消費動向を調査しているが、中国富豪の年齢層や生活に対する意識は年々変化しているという。

●女性所有者の増加
 このたび発表された調査によると、中国の上流階級では今、急速に女性や若者の存在が目立ってきている。実際、招商銀行のプラチナカードを所有する年齢層は31歳から45歳が全体の8割。特に女性の増加は顕著で、去年までに3割近く上昇した。

●健康志向の高まり
 消費習慣について見てみると、依然として大型百貨店での高級品購入に占める割合が43.64%と高く、特にアルマーニやバリーなどのブランドが人気だ。

 こうした消費の一方で、健康志向の高まりがみられる。7割の富豪が定期健診を受けているといい、3分の1が飲酒せず半分が喫煙習慣がない。また、家族とのつながりを大切にする傾向も見られ、休暇の過ごし方の中で「家族と過ごす」が6位に急上昇した。また、家族カードを所有者は50%以上で、家族の消費は全体の40%から50%前後に上っている。

 こうしたことから、招商銀行は空港のVIPルームの家族同伴を認め、VIP医療の優先ルートを親類などにも譲ることができるほか、高額な航空損害保険も家族全員保障にするなど、様々な付属特典を打ち出している。

●海外での消費増
 また、海外旅行を好む傾向は継続。2010年は2008年比40%増だった。これに伴い旅行先での消費も増え、2008年1月から2009年10月の間に、クレジットカードは184の国と地域で50億元(約450億円)使われた。

 その184か所のうち、香港や日本など買い物目的の国も含まれるが、最近ではケニア、タヒチなど雄大な自然を満喫できる場所も好まれる傾向にある。招商銀行もこうした需要に応えるべく、北極の生態系を探る旅などを企画しているという。

 富豪の生活形式の変化とともに、カードのサービスも柔軟に変化する必要があると言えそうだ。

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