カルロス・ゴーン氏は日本からいなくなればいい?

 役員報酬が開示された上場企業役員中で、8億9000万円とトップだった日産自動車のカルロス・ゴーン氏について、菅直人首相は2日の街頭で「(日本から)いなくなりゃいい」と発言した。

 菅首相が2日、金沢市内での街頭演説で述べた。朝日新聞の報道によると、「財政が破綻(はたん)したとき、誰が困るかご存じですか。あの大金持ちのカルロス・ゴーンさん(日産自動車社長)は、(日本から)いなくなりゃいいんですよ、簡単なんですよ」という演説だったそうだ。

 前後の話の流れから、財政破綻をすれば困るのは、所得が少ない人や年金生活者だということを言いたかったようだ。だが、なぜ「大金持ち」がいなくならなければならないか、という説明はない。

 ちなみに、米国では今後、税制が大きく見直されようとしている。それは、社会福祉や医療などへの財政支出が増大するからだ。

 所得税の最高税率引き上げ、配当税UP。さらには、代替ミニマム税、メディケア税、付加価値税なども検討に入っているという。さらには、遺産税が復活する。

 こうした米政府の動きを、米投資専門誌バロンズは次のように指摘している。「全部を考慮に入れると、現在提案されている法案が成立すれば、その税負担の増加分の85%を上位1%の納税者が負うことになる」としている。

 その肝心の上位1%の税負担者がいなくなっては、元も子もない。

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