プラダ(PRADA)買収報道の裏側

 中国の新興ブランド小売業の上海富客斯実業(フォックスタウン)が、イタリアの高級ブランド「プラダ(PRADA)」の買収を計画している、と中国紙が伝えた。

 中国の経済観察報の報道によると、フォックスタウンはすでにプラダの株式約13%を保有しているという。しかし、プラダ側はブランドイメージの低下などを懸念し、株式の買い取り価格も大幅に引き上げられ、買い増しは難航しているのだという。その事情はどういうものなのだろうか?

 プラダといえば、高級ブランドの中ではよく買収、身売りなどのキナ臭い話題には名前が出てくる。創業家のオーナー兼デザイナーのミウッチャ・プラダ氏(Miuccia Prada)が90年代にパラシュート素材のバッグを大ヒットさせ、販路を世界に拡大し栄華を極めた同ブランド。しかし、これがミウッチャ氏の目を曇らせたとも言われる。

 ここで、世界最大の高級ブランドコングロマリットLVMHを目指したのが失敗の始まり。ジル・サンダー、ヘルムート・ラングなどのブランドを次々買収したが、大失敗に終わっている。この時の負債は15億ドル以上とも言われる。

 身売り先として、LVMHグループ、リシュモングループなどの名前が度々報道されることになっていく。さらにはミウッチャ氏が、資金調達の必要に迫られて上場のタイミングをうかがうようになったというが、金融危機、リーマンショックなどで機を逸したのではとも言われてきた。

 だが、経営再建を迫られていることは事実。その一方で、いまだにショーでもミウッチャ氏のデザインは高評価を得ており、身売りしたくないプラダ、そしてその価値あるブランドを欲しい中国企業との綱引きは見ものだ。


ミウッチャ・プラダ氏(Miuccia Prada)

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