金持ちには高級車もプライベートジェットも同じ

 ゴルフや高級車に飽きた中国の富豪たちは今、プライベートジェット機(PJ)に夢中だ。浙江省の温州人は「中国のユダヤ人」と称されるほど商才に長けているが、その一人である許偉傑(きょ・いけつ)氏と仲間は、PJで珠江デルタ周辺をフライトすることに病みつきだという。現在、PJは中国国内に200機あるというが、うち11機は許氏が所有する。

 温州航空クラブ有限公司社長の許偉傑氏はプライベートジェット機の普及に熱い思いをかけているようだ。2005年12月、許氏はPJの良さを知ってもらおうと「プライベートジェット機推奨会」を開いた。

 ここでは22の企業が22のPJと、ビジネスジェット機を購入。総額は約1300億元(約3900億円)に上った。その後、許氏は「楽清飛行総会」を立ち上げ、温州商人ら多くの富豪に入会をすすめた。また、杭州にPJ専門店「4S店」を出し、西安で製造工場も始めた。

 「プライベートジェット機はスポーツカーを購入するのとそんなに変わらない」と許氏す。彼の所有する11機のPJの総額は2000万元前後(約3億6000万円)。最も安いものでは25万元(約325万円)、最も高いものでも300万元(約3900万円)という。

 許氏によると、現在航空クラブの会員数は1万人を超え、クラブを通して多くの名士と知り合いになったそうだ。11機のジェット機の管理費は年間約100万元以上(約1300万円)だが、こうした出費は“接待費”と考えているという。多くの人はゴルフやスポーツカーを交際のための手段としているが、みな飽きつつあるようだ。許氏は、その辺をよくわかっているようで、PJでの接待が今は最も効果があるようなのだ。

 しかし、プライベートジェット機を乗り回すのは、現在の中国ではそう簡単でないらしい。もし飛行する場合、民航局と軍民航管理部門に飛行区域と飛行計画について説明し、許可を取らなければいけないのだ。実のところ、中国の低空領域はPJにはまだまだ開放されていない。

 一方、今後中国国内の空中管制は徐々に開放されていく方向にはある。そう考えると、これから中国でのプライベートジェット機の市場は大きな発展の余地があるといえそうだ。

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