スコットランド 天使にあげるお酒の分け前とは?

 最近、「ハイボール」の流行でにわかに人気復活のウィスキー。そのなかで、スモーキーな香り高いスコッチ・ウィスキーは、今も「スコッチ・ウィスキー法」という法律で、製法などきちんと伝統を守っています。スコットランドの北東部にあるアバディーンシャー州のスペイサイドにある、世界で唯一のウィスキー・トレイル(街道)を訪ね、ディスティラリー(蒸留所)で、その深い味わいの秘密を聞いてきました。

 ブリティッシュ・エアウェイズで、成田-ロンドンは約12時間。クラブ・ワールドのフルフラットシートで、昼のフライトなのにすっかり熟睡。乗り換えてわずか1時間半で降り立ったアバディーンの空港を出ると、緑・緑・緑……。


スコットランドの大地に広がる緑の美しさにため息

 古城の隣にあるキルドラミー・キャッスル・ホテルKildrummy Castle Hotelに向かう途中の風景は、本当に美しく、もうこれだけでスコットランドにすっかり魅了されたほど。この緑豊かな自然と、英国王室の夏の避暑地であるバルモラル城をはじめとする歴史遺産の数々も、この地の大きな魅力です。

古城はお隣、こちらはホテルですが、この美しさ

 さて蒸留所は、日本人にも馴染みのあるグレンフィディックやグレンリベット、スペイサイドで最も古いストラスアイラの蒸留所を回りました。スコッチ・ウィスキーと呼ばれるためには、スコットランドで作られていることはもちろん、発酵は酵母のみによる、アルコール度数94.8%以下で蒸留など厳しい定義があります。

グレンフィディック蒸留所

胴製スティル(蒸留器)の大きさと形は、100年前からそのまま

 蒸留をしたウィスキーは木樽に入れて貯蔵され、最低3年間寝かされます。その間、実は毎年2%ずつアルコールは蒸発していきます。この抜けていくアルコールを英語で“天使の分け前angel’s share”という素敵な表現を使います。10年以上も寝かされている樽からは、15%を越えるかなりのアルコールが出ていく一方で、樽の中で熟成が進んで深みのある味になっていくので、これは天使の分け前として差し上げるということですね。

スペイサイドと一番古いストラスアイラ蒸留所

改装したグレンリベット蒸留所。オープン日にはチャールズ皇太子ご夫妻も

 蒸留所では、見学の最後にウィスキーの試飲をさせてくれます。また、ダフタウンという町のウィスキー・ショップでは、500種類以上揃えているシングル・モルトのうち、180種類を試飲させてくれて、ウィスキーの品定めにはぴったりです。「スコットランドに行って、自分にぴったりのウィスキーを探す」そんな旅がここでは可能です。

ウィスキーショップにずらりと並ぶボトル

(参照:英国政府観光庁www.visitbritain.com/、スコットランド観光局www.visitscotland.com/ )

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