美味しすぎるブラジル債権にお上が「待った」

 ブラジル財務省が先日、債権投資の場合は「金融取引税」の税率を4%に引き上げると発表した。現行2%の2倍にあたるのだが、それはブラジル債権への人気がここにきて急上昇しているという背景があるからだ。

 たとえば国債2年物の利回りではブラジルが12.42%。インドは6.15%、豪4.61%、中国2.20%となっている。ちなみに日本は0.16%だ(数字はモーニングスターから、6月18日時点)。今後は最大の経済圏になる可能性を秘めたインドの2倍以上の利回りがある。

 新興国は一般的にはインフレ懸念を計算に入れておかなくてはならないのだが、現在のインフレ率は4.6%。政府が定めるインフレターゲットの範囲内にうまく調整できている。高利回りでしかもリスクが低い。外貨準備高も2531億ドル、純債権国に転じており、国際的に経済的な地位が高まってきていることを示している。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、海外の債券ファンド運用会社からブラジルのあらゆるクラスの債券への資金流入額は、今年から9月までで52億ドルに達しているという。これまでの年間最高額の2009年の20億5000万ドルを2倍以上も上回る数字だ。

 これだけブラジルへの資金の流入が続いているのだが、日本国内でも続々、ブラジルレアル建ての債権やファンドなど、高利回り商品として募集されている。

 金融危機以降、安全な投資先を見つけるのが難しい現在にあって、世界中の投資家から頼りにされている投資先。今回のブラジル財務省の増税案は、今後市場に対してどのくらい影響を与えるのだろうか。

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