米住宅市場に底入れ感

 日本にとって怖いウイルス菌の一つに、他でもない金融危機の真犯人である米国の住宅市場がある。ただしここへ来て、米住宅市場には底入れの兆しも見られる。9月の米住宅販売は、新築、中古を合わせて前月比で9.7%増加して428万戸(季節調整済み年率)となった。5、6、7月と住宅取得減税効果の反動が響き、一時は366万戸まで落ち込んだが、そこから2カ月連続のプラスとなり、徐々に底入れ感が形成されつつある。

 みずほ証券リサーチ&コンサルティングの猿渡英明氏は「今後は、緩やかながら続く雇用・所得環境の改善に伴って、住宅販売が素直に持ち直し続けることができるか注目されよう」と指摘している。

 住宅価格の下落や住宅ローン金利の低下などがこれまで大きく進んだことから、住宅取得環境は大幅に改善している。ただし、こうした取得環境の改善にも関わらず本格的に住宅市場が回復しないのは、やはり雇用環境の改善が遅れているためだ。また、金融機関による住宅ローンの供給が、依然として滞っていることも影響している。

 「雇用を中心とした米国景気の回復が継続していることから、ここから住宅市場の状況がさらに悪化していく可能性は低いとみている。しかし、回復方向に向かうとしても、そのペースは雇用情勢の回復が緩慢なこともあり、当面は緩やかなものになることが予想される」(猿渡氏)。

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