富裕層ほど分離課税の維持を希望

 日本証券業協会は、株式売却益など金融所得の課税方法について、投資家に実施したアンケート調査の結果を発表した。政府税制調査会では「総合課税」導入検討の議論もあるが、アンケートによると投資家の約6割が現行の「分離課税」の維持を求めている。また、保有金融資産の額が大きいほど、分離課税を望む傾向が強いことも分かった。

 アンケート結果によると、分離課税の継続希望(継続+どちらかと言えば継続)が58.8%、総合課税への変更希望(変更+どちらかと言えば変更)が17.6%となり、分離課税の継続を望む声が総合課税を望む声に比べて大きい。分離課税に賛成の理由は「源泉徴収ができる」79.5%、「金融商品から生じる損益を管理しやすい」57.2%、「金融所得が社会保険料等に影響しない」42.0%、「税率が分離課税の方が低い」40.5%、「総合課税だと確定申告が必要」24.4%の順。

 課税方式が変更された場合、投資姿勢に変更があるかどうかを聞いたところ、「投資をやめる」が9.4%、「投資額を縮小」が26.0%、「新たな投資に慎重になる」が36.9%、「投資を継続」が27.7%となり、総合課税への変更はマイナスに作用しそうだ。

 また、年収、資産保有額別では、現行の分離課税継続を望むのは個人年収300万円未満が30.1%に対して1000万円以上が42.5%と最大、株・投信保有額では300万円未満が34.0%に対して3000万円未満が45.1%と最大になった。さらに分離課税を継続してもらいたい理由では、株・投信保有額3000万円以上の層の40.0%が「金融商品から生じる損益を管理しやすい」と回答しており、他の資産クラスと比べて際立って大きな割合となった。

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