「クビになることをお勧めする」ファッション界の大物

 米ヴォーグ誌の名物編集長として、ファッション界に絶大な影響力をもつアナ・ウィンターさんがファッション関連のセミナーでした発言が、話題になっている。

 その発言とは「みんなクビになることをお勧めするわ。クビになるのはいい経験だから」と、ちょっとドキリとするようなもの。

 自身のキャリアについて、セミナーの壇上で話していたウィンターさん。以前ハーパース・バザー誌で働いていたときに、クビ同然で解雇されたことがあり、その失職経験がいい勉強になった、という話からこの発言につながった。

 彼女を描いたバイオグラフィー本「Front Row~ファッション界に君臨する女王の記録 アナ・ウィンター」によれば、ウィンターさんは26歳で、9ヶ月働いたハーパース・バザー誌のジュニア・ファッション・エディター職をクビになっている。クリエイティブの相違や、仕事の頑固ぶりなどがその理由だったようだ。

 実際、彼女のその後のキャリアは輝かしいの一言。その後、数誌でのエディター職を経て、36歳でフルタイムの乳母と一軒家と莫大なギャラとともにイギリス版ヴォーグの編集長に就任、38歳で現職の米ヴォーグ誌の編集長という頂点を手に入れた。20代で単身イギリスからやってきたファッション大好き少女の、これ以上ないほどのサクセスストーリーであるのは確かだ。

 「クビになるといい」発言には一理あるかもしれない。でも、これまで数え切れない人数の部下やアシスタントを切り捨ててきたであろうことを思うと、鬼編集長のこの発言に、現在の部下たちはますます震え上がっているかもしれない。


アナ・ウインター氏(中央)

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