国外での脱税は、スイスでは犯罪ではない

 なぜ、多くの資産家がスイスに銀行口座を開くのか? スイスの銀行事情に詳しい地域経済研究所の永井隆昭客員研究員は、「税制がとくに非居住者に魅力的な点が、スイスの銀行の魅力。『国外での脱税は、スイスでは犯罪ではない』とされており、国外の税務当局は税金逃れに対して、スイスの銀行の協力は得られない」と語る。世界的な映画俳優や歌手などの多くも、スイスに居住権をもっていると言われる。

 スイスの銀行に口座を開くときは必ず「脱税が目的ではない」という一札を入れるのが原則。ただし「外国の顧客の大部分が脱税目的と言っても過言ではない」というのがもっぱらの通説。実際、スイスに居住している外国人には、州当局との話し合いで税金が決まるという特典が認められている。

 スイスに永住権をもつ有名人は、エリザベス・テイラー、ソフィア・ローレン、シャルル・アズナヴールらで、名だたる顔触れだ。

 エリザベス・テイラーは100万ドルの所得に対して米国では87万ドルを税金で持っていかれるところ、7000ドルの税金で済んだとされ、「スイスに居住権をもったおかげで、13万ドルの手取りが99万ドルと8倍に膨らんだ」とマスコミに揶揄されたと言われている。

 スイスでは「預けられたカネは、脱税の結果であることを薄々感じてはいても、それは預金者もの」なのだ。

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