北海道に進出する中国資本の驚異的パワー

 中国人の旅行先として、北海道が人気だ。ブームのきっかけは2009年の中国映画「誠実なおつき合いができる方のみ」で、舞台となった北海道が大人気となった。しかし、この北海道人気は、単に旅行者だけのものにはとどまらないようだ。

 家具・インテリア販売大手、ニトリの子会社「ニトリパブリック」は今春、北海道千歳市に中国人富裕層向けの別荘地を整備。まず、一戸建て17棟を完売した。現在100人程度から引き合いがあるといわれ、同社では将来的に1000棟の販売を目指す。

 住宅だけではない。日経新聞によると、北海道の高橋はるみ知事は29日の道議会で、森林や沼地の土地取引に事前届け出を求める独自の条例を制定する考えを表明。水源地などを外国資本が取得する事例が増えていることから、取引実態を把握し、森林の保全につなげる考えだという。

 また、NHK「日本の森林が買われていく」では、日本の森林が外国資本の投資マネーの受け皿になっている実態を明らかにした。今夏には、北海道倶知安町の山林が香港企業によって密かに買収されていたことが判明。林業不振から山を手放したいという地主が増え、中国の投資家に山林を売り込むグループもあるという。

 長期的な森林資源への投資なのか、あるいは大規模な伐採を行い、高級住宅建築ブームに沸く中国に運ぶつもりなのか、その目的は定かではない。仮に後者なら、森林の乱伐や水資源の枯渇が懸念される。中国パワーをコントロールする手立ては、今のところ見当たらない。

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