エルメスがLVMH対策の緊急会議、非上場化も

 世界最大のラグジュアリーブランドグループLVMHが株式を17.1%取得した仏高級ブランドのエルメスが週末、緊急会議をパリで行った。同社幹部、創業家、ステークホルダーが集まり、内容は明らかにされていないものの、団結し買収に対抗することを話し合ったと見られる。両者からコメントは得られていない。

 今年10月、気が付けば外堀の一部が突然埋められていた。侵攻してきたのはファッション界の帝王で世界有数の大富豪ベルナール・アルノー氏。腕力でいくつものラグジュアリーブランドをその手中に収め、LVMHを築いてきた。

 デリバティブとスワップで17%超を獲得。エルメス創業家は動揺して驚きを隠せなかったという。反応を見るための観測気球だが、言わば脅しの効果は大きかった。アルノー氏は友人のニコラ・サルコジ仏大統領には「海外企業からの買収から、仏の企業を守るため」とも話したといわれる。

 しかし、10年前には、グッチを巡って「ハンドバッグ戦争」といわれるフランソワ・ピノー氏との激しい買収合戦は記憶に新しい。結果的にこの戦いには敗れたものの、買収合戦に参戦する前は意思がない旨を伝えていただけに、今回もアルノー氏の言葉を誰も信用していない。

 会議で会長バートランド・ピュエシュ氏、CEOのパトリック・トーマス氏らは株式を売却しないことで意見は一致したと見られる。また、非上場化へ向けた可能性も探ったのではないか、とも思われる。


今年亡くなったエルメス5代目 当主のジャン・ルイ・デュマ氏

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