幸せと金儲けは両立できるか?【2】中途半端に頭いいのはダメ


左から天野敦之、久米信行の両氏
 ゲームソフト会社、日興證券を経て、久米繊維三代目として家業を継いだ久米信行氏と、外資系コンサルティング・ファームや証券会社勤務を経て、個人事務所を設立した公認会計士の天野敦之氏のトークショー「人と一緒に幸せを創る!成幸者の仕事術」が先日、都内で開かれました。

 墨田区観光協会理事や、明治大学商学部の講師も勤め、「メール道」「ブログ道」(NTT出版)の著書でも知られる久米氏と、異業種とのコラボレーションセミナーの開催など、公認会計士の枠を超えさまざまなフィールドで活動中の天野氏が、ご自身の経験から、『人を幸せにする=ビジネスとして成功する』ためのユニークなトークを紹介します。

世界的ムーブメント『ワールドシフト』を身近に実践する

天野氏

 『ワールドシフト』は、アービン・ラズロというノーベル賞に最も近い人物と言われている物理学者が提唱している価値観です。この世界をシフトしていかないと人類は滅亡するが、意識、経済の仕組み、働き方など、新たな方向へシフトすることで世界を変えるという概念ですが、2012年までにシフトしていかないと厳しいのではないかとラズロ氏は言っています。

 その世界的な動きに賛同しているのがワールドシフトジャパンです。事務局長が知人ということもあり、今年の4月に国連大学で行われたフォーラムに講演させていただくなど、ワールドシフトには僕自身も関わっています。

久米氏

 当社はこのTシャツ(写真で着用のもの)を作らせてもらいました。ブランクに変わる前のことと、変わりたいことを入れる。奪い合う自分→分かち合う自分、外国産の野菜を食べる→地元の野菜を食べるとか、どんな小さなことでもいいからシフトしていこうという考え方ですね。環境破壊で地球が滅びると思っていた多感な小学生だった僕にとって、アービン・ラズロは天敵みたいな人。ところが今はそのアービン・ラズロ博士に賛同してワールドシフトTシャツを作っているわけで、不思議な縁です。

 ワールドシフトはネガティブな問題から発せられた運動ですが、意識を変えるということと、天野先生がおっしゃる『毎日が幸せ』は実はワールドシフト的な考え方です。マクロな宇宙や地球、日本のことを考える前に、まず自分の身の回りから幸せにしようということですね。

天野氏

 環境問題を提起している人の中には、正義を振りかざす人もいます。正しいことではあっても、正義を振りかざすと対立が起きやすくなる。世界を変えるとか、社会をよくしようとか言う前に、まず自分自身を幸せにするべきだと思うんです。身の回りのある幸せをかみしめて、その場でできることをみんながすれば、それだけでワールドシフト出来ると思う。

 効率至上主義で世の中が便利になっていくのは悪いことではないですが、それで失われるものも多いですね。コピペではなく、面倒でも手間を掛けて相手に伝えることがビジネスにおいては必要ではないでしょうか。とはいえ、あくまでこれは価値観の選択です。“行き過ぎた効率主義=悪”というわけじゃない。選んだ結果を受け入れられればいいと思います。

久米氏

 確かにどっちがいいと決めつけてしまうと原理主義になってしまいます。たとえばグローバル経済の中で、あまり興味のないものは安い店で買えばいいし、自分の人生を豊かにする道具、相棒みたいなもの、食材も含めてですが、こだわりのあるものは、じっくりと話して選べる店に行けばいい。どちらかに偏るのではなく、チャンネルを切り替えるように選べばいいですよ。

天野氏

 原理主義になってしまうと、自分で世界を狭めているだけで、自分自身が苦しくなってしまうのではないかな。それではせっかくの人生もったいないなと思いますよ。

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