このところ新興市場が戻り基調だが、10月12日から公表が始まった「JASDAQ-TOP20」銘柄が好調で、これが新興市場全体をけん引している側面もある。2006年のライブドア・ショック以来の低迷を抜け出せていない新興市場だが、10月の大証とジャスダックの合併でどこまで変われるか、市場は公明性の向上に期待を寄せている。
20日特に上昇したのが「ユビキタス」(3858)。ジャスダック市場で売買代金トップとなり、大幅続伸で11月25日以来の戻り高値を更新した。「ユビキタス」は機器組み込み型ソフト研究や開発が主体のソフトウェア企業で、取引の7割が任天堂向け。
なお20銘柄とは、「楽天」「セブン銀行」「マクドナルド」「ベクター」「第一興商」「JCOM」などの、代表的な銘柄によって構成されている。将来の成長性さえ正当に評価されれば、明日の日本を背負ってたつ可能性のある企業群だ。
同じくTOP20構成銘柄の中では、「ザインエレクトロニクス」(6769)、「ベクター」(2656)も上昇した。ザインエレクトロニクスは日本を代表するベンチャー半導体メーカー、ベクターはソフトバンクグループのソフトダウンロード販売運営最大手で、オンラインゲームを急展開している。
新興市場には「アナリスト情報が足りない」「機関投資家の参加が少ない」「注目企業が東証一部へ昇格してしまう」など、依然として構造的な問題が指摘されている。
ただし、上場審査や市場監理の公正性向上が、大証とジャスダックの合併でどこまで進むか、市場は注目している。信用失墜のために長いこと放置され、市場の信頼感さえ回復すれば株価の安値感は強いだけに、2011年も引き続き新興市場から目が離せない。