関空ー伊丹統合、伊丹が実は儲からないこれだけの理由

「統合でなぜ営業収入が増えるんだ?」(企業幹部)


関西国際空港(2009年7月)
 関西にとって長年の課題といわれてきた「関空・伊丹空港問題」が、解決に向けて動き出した。国土交通省が1月国会に示す予定の解決策は、2空港の経営統合。廃止されるはずだった伊丹が残ったため、関空の経営を引っ張っている―といわれてきたため、伊丹の黒字で関空の赤字を埋めようというもの。だが、この案に対して、早くも地元大阪から疑問の声があがっている。

 国交省案によると、2012年度にも2つの空港の経営を統合し、その上で新会社の経営権を民間に売却。関空が抱える約1兆3000億円の負債は、両空港の営業収入が増えるため、順調に返済できる―という。

 だが、企業関係者からは、「営業収入が増えるなんて、どうしていえるのだろう」(大阪に本社をもつ電機メーカー幹部)と、首を傾ける反応が出ている。というのも、リニア中央新幹線も進んでいる。2045年に東京~大阪がリニアで結ばれると、現在はドル箱である伊丹空港の収益も激減する可能性がある。

 大阪商工会議所の佐藤茂雄会頭は、1月21日の定例記者会見で、国交省の負債削減試算について言及し、「達成するには大変ハードルが高い」と話した。はっきりいえば、「収入の見通しが楽観的すぎる」ということである。企業経営者がこう考えるのだから、「そもそも、事業運営権を買う企業があるだろうか」(化学メーカー幹部)という指摘が出るのも当然のことだ。

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