東日本大震災の後、中国・北京の不動産業者は“地震の揺れに強い”ことや“放射線を防ぐ”などといったことを新しいセールスポイントにしているという。例えばある不動産情報サイトには、「北京では珍しい建築様式のマンション-東京の典型的な免震建築を採用」といった売り文句が見られ、中古物件のサイトでも、「免震」「防放射線」といった言葉が踊っている。
北京市・石景山区にある3LDKマンションでは物件概要の中で、「震度8」の揺れにも耐えられると紹介されているほか、北京市・紫竹橋付近のマンションは「壁の厚さが50センチあり、震度10の揺れが来ても倒れない」と記載されているという。
また揺れだけでなく、放射線を防ぐ建物もセールスポイントになっている。特に高級住宅などでは、住宅を買えばもれなく「地下室」が送られる特典がつく物件も出てきた。「“万が一”の時には、家主は地下室に非難すれば良い」というわけだ。
こうした広告の背景には、北京市がおかれている不動産市場の低迷がある。中国では昨年、政府が数々の不動産政策を実施した影響で、不動産価格が値下がり傾向にあるのだ。これに対して企業は、何とか庶民の消費を促そうと様々な策を講じてきた。「マンション購入」で「修繕無料」や「新車をプレゼント」などの消費者の購買意欲を煽る特典は尽きることがない。だが、消費者が何より望んでいるのはやはり“住環境のよさ”だ。
今回、日本で起きた大震災は中国の人々にも大きな衝撃を与えている。北京では大きな地震が起こるのは数百年に1度とされているが、新しい不動産のセールスポイントの登場は、市民の“不安”の表れといえるだろう。