「金融危機はもうじき来る」Ｍ・モビアス氏

　新興国投資の第一人者で、テンプルトン・アセット・マネジメントの会長マーク・モビアス氏がこのたび東京都内で講演を行い、「デリバティブが新たな金融危機を生む可能性がある」と警告を発した。

前の失敗を解決していない

　あまりにも巨大な市場となったデリバティブ。それも2007年のサブプライムショックで、拡大はストップし、翌08年のリーマンショックで息の根を止められたかに見えた。だが、世界のデリバティブの総額は、すでに世界の国内総生産（ＧＤＰ）をはるかに超えて、4京～7京円などという規模にまで成長したと言われている。

　モビアス氏は「以前の金融危機をまだ完全に解決したわけではないので、それとは別の金融危機が起きることは避けられないかもしれない」という持論を展開した。

　また、失敗を犯した銀行が金融危機の以前よりも大きくなり、潰すにつぶせない規模になった。それを踏まえて「銀行はあまりにも大きなミスを犯してしまうこともあります」と、再び大きな失敗を犯してしまう可能性を説いた。

　だが、モビアス氏はその一方で、「すべての危機が、また絶好の投資機会にも通じている」としている。