名言「粗にして野だが卑ではない」

 自身の発言で批判を受けていた松本龍復興担当大臣が5日、発言の責任を取って辞任し、「粗にして野だが卑ではない」との言葉を残した。「そにしてやだがひではない」と読むが、どういう意味なのか。

 これは、城山三郎の小説「粗にして野だが卑ではない―石田礼助の生涯」というタイトルにも使われている。元国鉄総裁だった石田礼助が、国会の答弁で発言した言葉でもある。

 広辞苑などにはなく、「ていねいな言葉を使おうと思っても、生まれつきできない。無理に使うと、猿が袴を着たような、おかしなことになる。無礼なことがあれば、お許し願いたい」とことわっているように、乱暴な言葉遣いになるかもしれないが、正論を述べるという意味のようだ。

 ちなみに、小説になった石田は国会で最初に、そう断って、その後は国会議員に「国鉄が今日の様な状態になったのは、諸君(国会議員)たちにも責任がある」と批判を展開したそうだ。

 三井物産の社長を経てリタイア生活をしていたところ、誰もなりたがらない国鉄総裁というポストを私心なく引き受けた石田。松本復興相が、石田を尊敬していたのか、自らの境遇に重ねて言ったのかはわからない。

 ちなみにこの本はプレジデント誌の「一流社員が読む本」として、丸紅社長の朝田照男氏が推薦している。

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