賃貸住宅の賃借契約で「更新料」が有効か無効かを問われた上告審で、最高裁第2小法廷(古田佑紀裁判長)は15日、「有効」との判断を示し、不動産オーナー側の勝訴を言い渡した。大阪高裁で出た3件の有効、無効と結果が異なる訴訟の上告審。不動産オーナー側にとっては有利な判断となったものの、今後の不動産投資は決して明るいものではないようだ。
「法の番人」のバランス感覚が働いた?
最高裁
09年8月の大阪高裁判決で「更新料の目的や性質が明確でなく、合理的な根拠を見いだすことは困難」として、高裁で初めて無効との判断が下った。無効2件、有効1件でこの日の最高裁判決では「高額すぎるなどの事情がない限りは消費者契約法には反しない」との判断が出た。
「(オーナー側に)有利な流れになって来ているような気がします」と傍聴に訪れた不動産オーナー。先日最高裁で下された敷引き特約も認められたことを意識しての発言だった。
また、法的に見ても、つまり更新料返還訴訟が、オーナー、賃借人との間で起きることは容易に想像できる。さらには、オーナーが受け取った更新料の半分は管理会社に行く。当然、管理会社も絡んで、オーナーとしては、賃借人と管理会社の両者を相手に戦いをせざるを得なくなってしまうのだ。◆参考◆
「(最高裁が)バランスを取るような雰囲気ですね」と予想していた前出の不動産オーナー。法の番人らしく絶妙のバランスを取ったということが言えそうだ。消費者金融での過払い訴訟のような事態になることも予想されたが、それは避けられたようだ。