「写真で届ける世界遺産」の10回目はプロヴァンです。今回でフランス・シリーズの最終回。
プロヴァンと言うと、よく間違えられるのが、フランスの南東にあり、日本でも観光地として人気の高いプロヴァンス地方。
プロヴァンスの語源はローマ帝国時代の「属州」という意味で、スペルは「Province」。
しかし、私が本日向かう世界遺産プロヴァンはパリの南東90キロにあり、そのスペルは「Provins」です。
中世市場都市プロヴァンは12~13世紀にかけて、北ヨーロッパとイタリアを結ぶ交通の拠点として栄え、シャンパーニュの大市が、年2回開催され賑わいました。
ヨーロッパの陸上貿易の中心地でしたが、14世紀頃から廃れてしまい、今では中世がそのまま残る街としてユネスコの世界遺産になりました。
鉄道旅行者のバイブルでもある、「トーマス・クック社の時刻表」にもプロヴァンに行く列車の運行情報が無く、ネットで検索すると、「パリからプロヴァンまでの交通の便はイレギュラーなので、早めの行動、準備、人への確認、決断が大事」「列車に乗ることに不慣れ、かたことの仏語や、道をきくなどに不慣れな人はちょっと難しい」と、何ともご親切なアドバイスが並んでいました。
ちょっと緊張しましたが、パリ東駅のイル・ド・フランス向けホームに行くと、7時45分発のプロヴァン行き列車が停まってました。
一安心するも、プラットホームに、そのまま入れる普通の鉄道と違い、切符が無いと、「イル・ド・フランス方面」のプラット・ホームには入れません。
慌てて切符売り場に並び、「一等車・7日間フランス乗り放題」のレイル・パスを見せると、すぐに往復の切符を無料でくれました。
列車の種類が高速郊外鉄道なので、普通の鉄道とは違うようですが、苦労することなく乗車でき、9時半にはプロヴァンに到着しました。
街中は歩いてる人が少なく、観光客も見かけず、標識も少ない。いわゆる「やまかん」で歩きましたが、小さな街なので、間違えずに、20分程で目的地の「セザール塔」に到着しました。
上の写真は正面から、下の写真は入口のある奥からの写真です。
セザール塔では受付の女性が12世紀の民族衣装を着ていたので、「写真を撮ってもいいですか」と聞くと、チケット売り場から出てきてにっこりとポーズをとってくれました。ちなみに入場料は3.8ユーロ。
写真の女性のすぐ後ろに見えるのが塔に上る階段で、こんなに狭いのですがそれほど高い塔でもないので、誰でも上れます。
途中の部屋では中世の騎士の日常生活を現わしたような動画が真っ暗な壁面に映されていて、中世の雰囲気を醸し出していました。
左側が動画で中世の騎士達ですが、右側に現代の観光客が2人います。暗くて見えないかもしれませんね。
塔の頂上に上ると、プロヴァンの景色が眺められます。
正直言うと、「え、この範囲?」 という程、狭い街ですが、城壁が所々に残る古い街並みが一望できます。
セザール塔を出て、旧市街を歩いてみました。観光案内を見ると、街の人達が広場や通りで、中世時代劇を演じるらしいのですが、午前中なので、まだ早かったようです。
13世紀のサン・ジャン門と城壁のある、街のはずれにやってきました。
城壁に登り下を見ていると、遠足の子供たちが続々と現れ、元気よく中世の街に入っていきます。
小さな街なので、3時間くらいあれば街の端から端まで見学できます。列車時刻は1時間に1本、パリ東駅からプロヴァンが毎時45分、プロヴァンからパリ東駅も毎時45分で、乗車時間は1時間20分。これだけ覚えておけば、プロヴァンへの往復も難しくはないでしょう。
また毎日午後になると中世の催しがあり、6月には2000人の住民が中世の人々に扮して、街を闊歩する中世祭があるそうです。
中世市場都市プロヴァンは2001年に世界遺産に指定されました。パリから日帰りで行ける手頃な世界遺産として、お薦めです。