アメリカ、カナダ、シンガポール…中国の不動産マネーは国内で制限政策の影響で、次々に海外に向かっている。そして今、中国富豪の注目を集めているのは韓国・平昌(ピョンチャン)。2018年に開催予定の第23回冬季オリンピックの開催予定地だ。
冬季五輪の平昌開催が発表されたばかりだが、北京の海外不動産投資代理会社によると、すでに3つの不動産を中国富豪が購入したのだという。物件はゴルフリゾート内にある高級住宅で、価格は明らかにされていないが平均価格は約1800万元(約
1億1700万円)とみられている。投資者は、杭州のある保険会社の幹部と、医療機器メーカーの社長、アメリカの永住権(グリーンカード)をもつ朝鮮族の人物だった。
このゴルフリゾートは、江原道政府に所属する江原道開発公社が投資して建設したもので、最も大きい住宅の面積は555平方メートル、価格は約2250万元(約2億7200万円)だ。だが、ソウルから車で約3時間と距離があり、価格も高すぎたためか、売り上げは散々で、江原道政府にとっては大きな重荷となっていた。だが、平昌が冬季オリンピックの開催地に決定すると、中国人投資家の動きは速く、すぐに現地の不動産市場に参入してきた。
中国人が海外不動産の投資に熱心なのは、中国政府が国内の不動産投資を制限しているものの、未だ国内不動産のインフレが続き、資産価値の下落を懸念していることにもある。
これまで、中国富豪たちは主にアメリカやカナダの高級住宅などに投資し、最近ではフィリピンやシンガポールといった場所にも投資対象を拡大してきた。韓国では、平昌の他に、済州島(チェジュ島)などが人気を集めている。
韓国政府は10億ウォン以上(約7000万円)投資した外国人に対して、永住居留権を認めている。ただ、中国富豪はそのオプションに全く興味がなく、資産を安定的に保てるかどうかに興味があるようだ。