クルーズ船の乗客の3分の1以上はシニア層です。近年では、人工透析やがん患者の特別のツアーもあります。一般的に長期間のクルーズ程、高齢者に人気あります。高齢になるほど、気候の変化、普段と違う食生活・身体活動、閉鎖された空間での生活によるストレスで、心身の病気にかかりやすくなったり、持病が悪化することも少なくありません。
特に注意しなくてはいけないのは、呼吸器系と消化器系の感染症です。特にインフルエンザ・ノロウイルス・レジオネラ感染症は、毎年外国船で発症が報告されています。特にクルーズ船から提供される水には、積み込まれた水の汚染・給水タンクの管理の不徹底、調理場の海水の使用といった問題があります。
船内はバイキング方式で、雰囲気に誘われて食がどうしても進みがちです。某日系クルージング会社の統計では、乗客平均一日5食という統計が出ています。食べ過ぎ・同じ食品に偏った食事にならないよう、心がける、ミネラルウォーターを利用する。船内に備えつけられている、ハンドジェルを利用することをお勧めします。インフルエンザは、季節的に流行している地域から乗客や乗組員が乗船することによって、集団感染することがあります。従って夏であってもインフルエンザに注意する必要があります。
レジオネラ感染症は、ジャグジーで感染することが多く、死亡例が報告されています。また、白癬(水虫)は、医務室でも大変多い病気です。麻疹・水疱瘡・風疹も集団感染を引き起こす病気であり、注意が必要です。是非インフルエンザも含め、予防接種をすませてから、乗船した方が無難です。豪華客船であっても、船は閉鎖された不衛生な空間です。昆虫・ネズミといった問題もあります。下痢・咳・発熱といった症状が出たら、早めに診療所に相談すべきです。