先だってバンコクを訪れた際、年に数回の民間視察ツアーの際にしか入れないというチットラーダ宮殿の中のタイ王室プロジェクトを見学させていただく機会を得ました。かねてより、タイのプミポン国王陛下が若かりし頃よりタイの全土を見て周り、農業をはじめ産業支援をされていたことは存じていました。国王陛下の三種の神器は、カメラと地図と筆記具といわれているほどです。
しかし、お住まいである王宮の中に、水田、畑、果樹園、酪農場などまで設け、こんなにも本格的な研究や開発がなされ、しかもそれが現実のものになってタイの国に役立っているとは、本当に驚きまた感動の視察でした。
このなかでは750人もの人が様々なプロジェクトを進行していて、全国の寺院に納める最上級のろうそく作りや果汁100%のジュースから、健康食品として霊芝の栽培やSPIRULINAと呼ばれる淡水微生物(クロレラのような感じ)の養殖、米の栽培、乳業、そして太陽光や風力発電、バイオディーゼルの開発まで、その中身が多岐にわたっているのに驚かされます。
このバイオディーゼルは、ウィスキー工場の生産過程で出来る糖蜜から作られるバイオ燃料で、まさに環境エネルギー実験場といった感じ。そして乳業も、ただ酪農場があるというだけでなく、ホルスタイン種からタイの気候にあった牛に品種改良するといったことまで行われているのです。そして、ここは国王陛下の住居、日本で言えば皇居の中なわけです。
私が訪れたときには、洪水被害の大きかったアユタヤへの支援米をここからトラックで送りだしていたのでした。すべてのタイ国民がプミポン国王陛下を敬愛してやまないのもうなづけます。民のために役立つ、ノブレス・オブリージュの真髄を見たように思いました。
(取材協力:タイ国政府観光庁http://www.thailandtravel.or.jp/)