スタートしたばかりの2012年、「関西財界の弱体化が加速する年になりそうだ」(財界関係者)との声が聞こえている。関西財界御三家といわれてきたパナソニック(旧松下電器産業)、住友金属工業、関西電力の3社が、そろって変革を迫られる年になるからだ。パナは4000億円を超す最終赤字を出す予定で、住金は10月に新日本製鉄と合併、そして橋下徹大阪市長ににらまれている関電は、脱原発とコスト削減を迫られる。関西国際空港などの巨大プロジェクトを推進してきた古い財界スタイルからの脱皮が必至となりそうだ。
パナ、住金が深入りできない事情
パナソニックの大坪文雄社長
だが、テレビ事業の苦境から、2012年3月期決算で巨額の最終赤字を予定している。「株主の手前、財界活動は“本業に役立つもの”に限られる」(パナ関係者)という。
一方、今年10月に新日鉄と合併し、新日鉄住金になる住金。押しも押されもせぬ関西財界銘柄として知られてきた。関経連の8代会長の日向方斎氏、11代会長の新宮康男氏、そして2007年から昨年5月まで13代会長を務めた下妻博氏が住金のトップだった。
新日鉄との合併が発表された昨年2月。関経連会長だった下妻氏は、合併後の関西財界とのかかわりについて聞かれ、「できるところはやっていきたい」と話したが、ある住金OBはこう語った。「合併により、本店登記は東京になる。将来、また関経連会長を出すようなことがあるとは、考えられない」
そして関電も、生粋の財界銘柄企業である。