写真で届ける世界遺産(ポルトガルその1、大航海時代の拠点であったポルト歴史地区)

 筆者の持論ですが、歴史上の一時期でも繁栄し、世界の富が集中した国は、その遺産も豪華であり、見るものを惹きつけます。ポルトガルもまさに世界を相手とした海洋貿易で一時期、繁栄を謳歌しました。その豪華な世界遺産は、このコラムで写真とともに楽しんでいただけると思います。

 リスボンから北に300キロ、ポルトガル第2の都市ポルトはドウロ川の河口に位置し、ポートワインの積出し港として発展しました。大航海時代に富裕層はエンリケ航海王子の探検を支援し、ポルトは海洋貿易の中心地となり、17世紀にその繁栄が頂点に達しました。

 ポルトの見どころは世界遺産に指定された歴史地区に集中しており、メトロのサン・ベント駅から歩いて廻るのがいいでしょう。

 鮮やかな装飾タイルで飾られた見事な壁面ですが、実はサン・ベント駅のホールです。この巨大なアズレージョにはポルトにまつわる歴史的なできごとが描かれています。



 市内には可愛らしい市電が走っていますが、歴史地区だけなら徒歩で十分に廻れます。


 サン・ベント駅から徒歩5分のクレリゴス教会は18世紀に建てられたバロック様式の教会です。


 2ユーロを払うと76メートルある塔に上ることができますが、長く、狭く、急な石段を登るのは結構きついので、覚悟して登って下さい。しかし、石段を登りつめるとこの景色が待ってます。


 ポルトガルで一番の高さですが、当日は雨が降っていました。オレンジの瓦屋根の右方向にはドウロ川が、かろうじて望めます。


 次に訪れたのが、もとは要塞として12世紀に建てられたカテドラル。17世紀から18世紀にかけて、様々な改修が加えられ豪華になりました。


 3ユーロを払って、祭壇右側からゴシック様式の回廊に入ると、素晴らしいアズレージョが迎えてくれます。


 歴史地区を歩くと次に見えてきたのがポルサ宮。ごく最近まで証券取引所として使われていたそうです。前に立つ像はエンリケ航海王子です。


 ポルサ宮のすぐ隣のサン・フランシスコ教会です。14世紀初めにゴシック様式で建てられましたが、17世紀に金泥細工で、ピカピカのバロック様式に改装されました。


 天井・壁・柱のすべてに鳥、天使、つる草の彫刻が施され、その表面には金箔が貼られているので、目もくらむような豪華さです。写真撮影が禁止だったので、絵葉書を買ってきて写真にしました。


 川岸まで坂道を下ってカイス・ダ・リベイラ地区にやってきました。ここはドウロ川に面していて、レストランが並んでいます。


 生憎の雨ですが、ここはドン・ルイス一世橋が眺められる素敵な散歩道です。相合傘のカップルが歩いています。ポルトガルの傘は日本のビニール傘と同じくらいのサイズなので、女性は左側が、男性は右側がずぶ濡れですが、そんなことどうでもいいみたいでした。
勝手にどうぞ(笑)


 ドン・ルイス一世橋の真下から橋を見上げるとこんな景色でした。1881年より5年間かけて造られたアーチ式の2段になった鉄橋です。上層は395メートルあり、歩行者とメトロ用に、下層は174メートルで自動車と歩行者用になっています。


 ここにケーブルカーがあったので、乗ってみました。橋にライトが灯り、雨にぬれて、ちょっといい感じの写真になりました。


 ポルト歴史地区は1996年に世界遺産として登録されました。サン・ベント駅のアズレージョ、クレリゴス教会の塔からの眺め、ドン・ルイス一世橋と哀愁がただよう見どころが数多く残る、素敵な世界遺産でした。

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