ヘッジファンドの誤解を解く

KPMGとヘッジファンド業界グループの委託を受けて、ロンドンのインペリアルカレッジが実施したレポートによると、過去17年間のヘッジファンドのパフォーマンスは他のアセットを上回ったとFINalternativesは報じている。

1994年から2011年のヘッジファンドのリターンは年率9.07%であったのに対して、株式は7.18%、債券は6.25%、コモディティは7.27%であった。ヘッジファンドのVaRで計測したボラティリティも株式やコモディティよりも低く、ヘッジファンドにおけるアルファ(市場全体の動きとは別に運用者のスキル等から獲得する超過収益)も1994-2011年で平均年率4.19%と非常に高いことが判明した。

加えて、ロイターによると、同レポートは1994~2011年におけるヘッジファンドの年間利益総額に占める投資家利益は71.9%に上り、ヘッジファンドマネジャーの報酬は28%に過ぎないと指摘する。

ファンドマネジャーであるサイモン・ラック氏は著書「The Hedge Fund Mirage」の中で、「1994~2011年の投資家の実際の利益は計700億ドルで、ファンドの報酬は3,790億ドル。ヘッジファンド運用会社は利益総額4,490億ドルのうち84%を手に入れたことになる。投資家が得たのは16%だった」と述べ、ヘッジファンド業界から反発を受けていた。同レポートはこうしたヘッジファンドが割高でリターンも低いという一般的な誤解を解くものだ。

ヘッジファンドの実績を分析する上で重要な統計である相関性について、ヘッジファンドとグローバルの株式の相関はリセッション時には0.87、それ以外で0.77とリセッション時にやや高くなっておりヘッジファンドが金融システムの安定性を揺るがす可能性は低いことを示唆している。

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