始まりそうなパナソニック本社の大リストラ

 約7800億円の最終赤字を2012年3月期決算で発表したパナソニック社内で、「夏から、本社の大リストラが始まる」とささやかれている。ドメインと呼ばれる個々の事業単位で、人員の数値目標をかかげたリストラを繰り返し行ってきたパナだが、本社には手をつけていなかった。本社大リストラは、6月27日の株主総会後の役員会で社長に昇格する津賀一宏専務にとって、最初の大仕事になるのかもしれない。

「本社をシンプルに」と宣言


 5月11日、パナグループ社員を集めた大阪府枚方市の大会場で、大坪文雄社長が「2012年度事業方針」を発表した。集まったのは約600人。国内290会場、海外16会場に中継され、映像を見たのは、約4万2000人に及んだ。

 大坪社長が方針として掲げた項目の中に、「本社機能改革」があったという。「小さな本社にすべきだと訴え、本社をシンプルにすると宣言していた」(パナ中堅社員)

 パナソニックは旧松下電器産業時代、創業者の松下幸之助の意向もあり、人員削減と無縁な会社だった。だが、その亡霊にしばられ、リストラが遅れたことが明白になったのが10年前。以来、中村邦夫現会長が社長になったのを機に、「聖域なき改革」に取り組み、いつでも必要に応じてリストラする会社になった。

 だが、「明確な削減数の目標を掲げて肩たたきをやってきたのはドメイン。本社が数値目標を迫ることはなかった」(パナ役員OB)という。

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