【きょうの名言】日銀マンが見せた日本の良心

 1995年(平成17年)1月17日から、18年が経過した。この日午前5時46分に発生した阪神淡路大震災は、死者6434人を出した。阪神淡路大震災にまつわるお金の話をあえてしてみたい。

 当時の日銀神戸支店長だった遠藤勝裕氏が震災から15年経過の際に寄せた、随想録の中では多くは語られてはいない。だが、当時の行動に「職員全員が正に命がけで対応した業務内容は中央銀行の機能そのもの」と胸を張っている。それは、次のような行動からだ。


阪神淡路大震災の死者のモニュメントがある東遊園地で 被災者を慰霊する市民たち。市役所庁舎には「1・17」 の電光掲示(昨年1月17日)
 遠藤氏は、日銀では異端児ではあるが、知る人ぞ知る傑物。この危機に、無事だった本店の金庫を守ろうとするどころか全開にしたのだ。

 そして、日銀神戸支店には、各銀行の即席支店が設けられて、通帳などがなくても身分証などでお金を下ろすことができたという。

 また、それだけにとどまらず、被災者のために1000円分の硬貨が入った袋を4000個、「義捐金」として配布した。これで自動販売機から飲料を購入することができるようになったという。

 さて、支店長権限で掟破りをやりすぎた遠藤氏。その後の人事に際しては、処分も検討されたというが、後に本店勤務となっている。

 18年という時間が経過し、すでにあの大災害を体験していない兵庫県民、特に子供も多くいる。ただ、その中には災害遺児もいまなお多くいる。遠藤氏はなぜか、縁があるのか、独立行政法人「日本学生支援機構」の理事長に現在就任し、学生の修学支援をする任を担っている。

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