東電汚染水発言「制御できていない」を首相と同じに

 「コントロールできていない」。安倍晋三首相が先日、IOC(国際オリンピック委員会)総会で福島第一原発事故におよる汚染水をコントロールできていると述べたことについて、東京電力幹部が反対したが、東電は13日改めて訂正した。幹部発言と公式発言を区別した格好だ。

 安倍首相がブエノスアイレスでのスピーチで、コントロール下にあることを述べ、自身が責任を持って対処することを誓っていた。この発言が、2020年東京開催決定にどれだけ寄与したかはわからないが、いくらかの不安を打ち消すだけの効果はあっただろう。

 しかし、朝日新聞によると、山下和彦フェローの言葉として「今の状態はコントロールできていないと我々は考えている」と伝えている。フェローという原発についての専門知見を持つ技術顧問の発言だけに、それは大きいものととらえられていた。

 東電が異論を唱えたことを、官邸は13日、菅義偉官房長官が定例会見で、「放射性物質の影響は発電所の港湾内にとどまっている」と反論した。

 東電はこの日、「総理の『コントロールされている』とのご発言は、放射性物質の影響は発電所の港湾内にとどまっており、近海における放射性物質の濃度は、基準濃度をはるかに下回り、継続的な上昇傾向も認められていないということの趣旨だと理解しており、当社としても同じ認識であります」との公式見解を示した。

 また、汚染水についても「汚染水の影響は発電所の港湾内に留まっており、外洋については検出限界値以下または告示濃度を遥かに下回る値であり、継続的な上昇傾向も認められないことを確認いたしております」としている。

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