ワールドゴールドカウンシル(WGC)がまとめた2013年の世界の金に関するレポート「The direct economic impactof old」によると、日本国内での購入額が前年比3倍以上になったことがわかった。また、中国がインドの購入額を抜いて初めて世界一になった。世界需要は2012年から比べ12%の落ち込みとなった。ETFによる買いが減少したことが影響した。
日本では、アベノミクスで日銀による2%のインフレ目標が示されたことや、株高で景気浮揚感もあったことで金消費が伸びた。
2012年 2013年
金ジュエリー 16.7 17.6
延べ板と金貨 ―10.1 3.7
※単位:トン
取引金額ベースでも、2012年の3億4000万ドル(約347億円)から、2013年は9億4200万ドル(約963億円)となった。
世界に目を転じると、上位2カ国では、実需が好調で金の延べ板、金貨や宝飾品が強い需要に支えられて、中国では対前年比32%増の1066トンとなった。1000トン超えは調査始って以来となる。
・中国 32%増 1066トン
・インド 13%増 975トン
逆に米国では、量的緩和が継続され株式市場に投資資金が流れたために金相場は低迷。2013年の金価格は平均1オンス=1411ドルで、前年から15%減少した。また、金上場投資信託(ETF)で代表的なSPDRゴールドは、著名投資家ジョージ・ソロス氏が売却し、金投資から撤退するなど影響力のある投資家が離れていったことも響いているようだ。ETFは年間を通しては881トンの売り越しとなった。
各国の中央銀行による購入も369トンで、前年から32%も減少した。
ただ、そうした中で投資よりも実需が好調で、金の延べ板と金貨は合わせて1654トンで、2012年の1289トンから28%増加している。また、欧米からアジアや新興国へと需要が移っている点も見逃せない。
対前年比で米国18%増に対して、トルコ60%増、タイ73%増だった。WGCのマネージングディレクター、マーカス・グラブ氏は「2013年は金にとって強い需要があった年だった。金の延べ板、金貨、宝飾品などの需要は西から東に移行している傾向にある」と述べている。
一方、携帯電話やスマートフォンなどテクノロジー系の需要は405トンで、2012年の407トンと比べ微減だった。