九州電力をはじめとして、北海道電力、東北電力、四国電力の各社が太陽光発電による再生可能エネルギーの買い取り中断を決定し、また、東電、関電、沖縄電力の各社も買取に制限を設けるなど、暗雲が立ち込めている。元々の設備に対して、業者、さらには個人投資家なども参入して急激に供給量が増えたために、そもそもの国が定めた制度設計の甘さが露見した。
太陽光発電の場合で言えば、4月から買い取り価格が下がるために、年度末の3月には駆け込み需要が発生していた。買取価格は次のようになっていた。
◆26年度の新規参入者向け買取価格及び買取期間
・非住宅用太陽光(10KW以上)
25年度 36円 20年間
26年度 32円 20年間
・住宅用太陽光(10KW未満)
25年度 38円 10年間
26年度 37円 10年間
買い取りは法律上は義務付けられているものの、当然ながら例外規定が設けられており、中断することも可能となっている。まさか、制度設計の際にはここまで殺到するとは考えもよらなかったのかもしれないが、制度設計の甘さはぬぐいきれない。
参入を積極的に促すという意図もあったが、買取価格が高く設定されるインセンティブがあり、さらには認可も厳しくはなく、参入が容易だったことは理由としてあげられるだろう。
また、外的要因としては、国内に遊休不動産があまりにも多かったということだ。特に九州や北海道は土地が安いこともあり、不動産を持て余す企業や個人投資家が渡りに船とばかりに飛び乗った。
受け入れ側の電力会社にもそのキャパシティーがなかったこともある。沖縄電力のような独立系統を使っているような規模の小さな電力会社などはすぐに接続量はいっぱいになってしまう。
こうした事態を受けて、経済産業省では9月30日に委員会を開催し、作業部会を設置して検討をしていくことになった。最低でも、制度自体の抜本的な見直しを迫られる可能性もある。
また、業者側でも、発電装置の大手サニックスは、九州の需要増加に対応してきたが、九州電力の対応を受けて、人員配転を見直すなど対策を取ることを発表。太陽光発電の政策が業績に影響を与える可能性すらある。