サムスン一族が第3世代への世襲加速

 韓国最大の財閥サムスン電子グループ創業家が支配する、第一毛織(旧三星エバーランド)が18日、韓国のソウル株式市場に新規株式上場(IPO)を果たした。上場初値で公開価格の2倍をつける場面もあるなど、久々に明るい話題となった。第一毛織はグループの支配株主の立場にもあり、今回の上場は李健煕(イ・ゴンヒ)会長から、副会長で長男の李在鎔(イ・ジェヨン)氏への継承への大きな一歩であると見られる。


イ・ジェヨン副会長
 イ会長は春先から心筋梗塞に倒れ、第一線の指揮は長男のジェヨン副会長が取っているが未知数でもあり、さらにこの危機に経営が悪化している点でも、グループは不安視されている。

 そうした中で、サムスングループが財閥第3世代への経営権継承へと準備が着々と進んでいるようだ。イ会長の資産総額は1兆5000億円で、韓国の相続税の最高税率が65%のために、相続額は9000億円以上で約1兆円になる。

 第一毛織の上場によってファミリーは多額の資金を得たが、これは相続税の支払いのための資金作りでもあるとの見方も強い。

 先日はサムスン電子の2兆ウォンという大規模な自社株買いを発表、さらにはグループのサムスンSDSを新規上場させるなど資本政策を次々と矢継ぎ早に実施している。

 その第一毛織だが、サムスン電子、サムスン生命などグループ会社の大株主だ。第一毛織のファミリーの持ち株比率は40%以上だが、次のようになる。

イ・ジェヨン副会長25.10%
イ・ゴンヒ会長3.73%
イ・ブジン新羅ホテル社長8.37% 
イ・ソヒョン第一毛織取締役8.37%

 長男のジェヨン副会長はいずれ本体を継承することになり、長女のブジン氏はホテルやレジャー系事業を継承、次女のソヒョン氏はアパレルやサービス系事業を継承していくことになりそうだ。

 韓国の長者番付1位が父のイ会長、2位がジェヨン副会長という国内では絶大な富を誇るファミリー。過去には継承を試みたが、世間からの見かたは厳しいものもある。


イ・ゴンヒ会長
 2008年にイ・チェヨン副会長がエバーランドの株式25%を取得した際には、イ・ゴンヒ会長を背任、脱税などの罪で検察庁が起訴している。後に執行猶予付きの有罪判決を受けている。

 当時の韓国紙によると、転換社債の9割以上をジェヨン副会長に配分し市場価格よりも遥かに低い価格で譲渡し、エバーランドに損害を与えたという。また会長は、株式の売却益を借名口座を利用して課税逃れをした疑いも掛けられた。

 また、第二世代間での相続争い、つまり、イ会長の兄弟間での戦いはまだ完全決着はついておらず、韓国最大の帝国はまだまだ火種を残す。

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