日本のマス富裕層3300万人(英エコノミスト調査)

 資産総額10万ドル~200万ドルのマス富裕層(日本では中間層も含め)の実態で、日本の総資産額は世界3位の11兆2000億ドルだが、2020年までには1.2%の低成長に陥ることが英エコノミストの調査「New Wealth Builders(NWB)」によって明らかになった。マス富裕層は中国が世界最大となり、日本、香港、シンガポールなどアジアの富裕層国家の伸びは弱くなっている。


 この調査では10万ドル~200万ドルの世帯をマス富裕層と規定しており、100万ドル以上を富裕層と規定する調査もあるために住み分けが難しいが、日本の場合はサラリーマンの場合でも生涯賃金は2億円近いために、この調査規定どおりに200万ドルまでを中間層的な存在である、マス富裕層として話を進めていく。

 現在、日本のマス富裕層世帯数は3297万世帯。ただ、2020年までには年率1.2%の増加にとどまり、これは調査対象32カ国中でワースト5位に入った。世帯数、資産額ともに2020年ま世界3位の座はキープしているものの、レポートでは「日本はすでに成熟した経済環境にあり、すでにNWBの割合が大きい」と指摘されている。

 ちなみに、日本は2010年の3635万世帯から、2014年には3297万世帯と減少しており、中間層の減少が起きているという見方もできる。

◆国別マス富裕層世帯数(2014年、2020年)
1 中国 7875万 1億6605万 
2 米国 4902万 5498万
3 日本 3297万 3551万
4 独  1762万 2125万
5 英国 1535万 1694万

◆国別マス富裕層総資産(2014)
1 米国 23兆ドル
2 中国 19兆5000億ドル
3 日本 11兆2000億ドル
4 英国 5兆9000億ドル
5 独  5兆2000億ドル
 
◆国別マス富裕層総資産(2020)
1 中国 53兆ドル
2 米国 27兆ドル
3 日本 14兆5000億ドル
4 独  7兆2000億ドル
5 英国 7兆ドル

 独立行政法人 社会保障・人口問題研究所が発表している、2020年の日本の総人口予測は、1億1661万人(生産人口率58.1%)。まだ、緩やかな減少でしかないために、資産額は増加しているが、この後は増加は保証できないだろう。

 2020年にマス富裕層の伸びがストップする国は、日本、英国、香港さらにはシンガポールも挙がっている。日本の総資産は14兆5038億ドルとなる見通し。また、それら1世帯あたりの平均資産額は40万ドルとなる。

 マス富裕層の富を築く手段としては、専門職34%、投資29%、不動産投資15%、相続3%で、レポートでは、NWBは自分自身を豊かとは呼ばないまでも、自己研さんに励み向上意欲が高いとしており、仕事、投資で富を増やしていくと見られる。また、今後の投資先については次のように答えている。中国は投資対象として考えられるように存在感が上がってきている。

◆投資先として魅力的な国
1米国
2インド
3英国
4豪
5シンガポール

◆将来的に投資したいと思う国
1米国
2インド
3英国
4中国
5シンガポール

◆将来的に経済見通しが最も明るい国は
1中国
2米国
3英国
4インド
5シンガポール

 また、超富裕層やマスとの階層別の資産総額の伸びを比べた場合でも、NWBの存在感は2020年にはさらに大きくなっており、7.3%と伸び率も超富裕層よりも高い。 

◆資産階層別の資産総額(2014⇒2020、年率)
・HNW(200万ドル以上) 43兆2914億ドル ⇒ 71兆9736億ドル 7.1%
・NWB(10万~200万以下)88兆3520億ドル ⇒ 145兆1401億ドル 7.3%
・マス(10万ドル以下)   2兆2325億ドル ⇒ 2兆4806億ドル  2.5%

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