東京の幽霊億ション化を暗示するロンドンの事情

 ロンドンの高級住宅街にはオフショアカンパニー名義の億ションや豪邸が乱立しており、場所によってはその割合が約50%に上り、さらに新築高級不動産の約90%という割合に上ることが、ロンドン警察の調査結果などを基にまとめたトランスペアレンシー・インターナショナルのレポートによって明らかになった。日本国内でも東京をはじめ日本の億ションなど高級不動産が外国人に買われているが、将来の日本の姿と見ることもできる。

10兆円がマネーロンダリングされた疑い

 オフショアカンパニー名義で所有する目的は言うまでもなく、誰の資産かわからなくするためのもので、中東やアジア、アフリカの富裕層たちが良く使う。オフショアに名前と所在地だけ設置した会社は、実態もなく、それ以上たどることは事実上は困難なために、不動産の所有者は明らかではない。

 なぜ、ロンドンの不動産かと言えば、資産価値はもちろんだが、やはり海外投資家にとっては安全資産であると認識されているということ。政治的、治安、経済的、もしくは実際の住環境としても優れたものであると認識されているからだ。

 これらの取引について、英国税務当局のFSAは、2013年には英国が絡んだマネーロンダリングの総額は、230億ポント~570億ポンド(約10兆円)にも上ったとしている。これは国内のGDPの1.4%~3.6%にも相当する金額になる。そうして取引されたロンドンの不動産の件数だが、4万725件にも及ぶという。

 登録されている会社の所在地の主なところは次のとおりとなっている。

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