フォーチュン500に選ばれるグローバル企業では、タックスヘイブンに資金を移して課税逃れをしている金額の総額が2014年で約1100億ドル(約13兆円)に達することが、米消費者団体「US Public Interest Research Group」(PIRG)の調査結果によって判明した。これにより、中小企業が負担を強いられることになり、1事業者あたりでは年間3244ドルの税負担増加につながっていると見積もっている。
PIRGによると、フォーチュン500に名前を連ねる企業の6割以上にあたる362社が、タックスヘイブンを使って米本国での課税を逃れているとした上で、その資金が1100億ドル分プールされていると指摘している。
アップルが米上院の調査で、アップルオペレーションズインターナショナル、アップルセールスインターナショナル、ブレイバーンキャピタルの3つの実質的な幽霊会社を使って課税逃れをしていたことは明らかにされている。その後、配当金の支払い巡って、米国内に還流させるには課税されてしまうために、あえて社債を発行するという代替え策を取ったこともあった。こうした、タックスヘイブンに巨額の資金を抱える企業は数多くあり、次はその一部。
・マイクロソフト 5つのタックスヘイブンを使用しており、929億ドルの現金が米国外に
存在する。もしも国内で保有すれば296億ドルの税金が課される。
・シティ タックスヘイブンに総額438億ドルの現金を保有し、国内で保有すれば追加で
116億ドルの税金が課される。
・キャタピラー 2000~12年までに80億ドルの利益をスイス子会社に移し24億ドルの課税を
免れた。現在はオフショアに172億ドルの現金を保有する。
・グーグル ダブルアイリッシュ、ダブルサンドウィッチなどの各種節税トリックを駆使。
2008~10年までに31億ドルの課税を逃れた。現在は474億ドルを保有。
・GE タックスヘイブンに1190億ドルの現金を保有する。2011年には法人税32億ドルの還付を受けた。その時には「財務省に寄付」というニセリリースが出回ったことも。
これらの企業の連邦税、州税が国内に落ちないということが、多方面にひずみをもたらすとPIRGは指摘する。「グローバル企業が納税を縮小させると、中小企業が負担を負い、競争でより不利となる。その結果として、イノベーションや開発の競争で有利、不利が出る」と、PIRGのジェイミー・ウー氏は述べている。以下は、その負担額が大きい州。
デラウェア 1万5843ドル
ネブラスカ 1万1351ドル
ミネソタ 1万770ドル
ロードアイランド 9838ドル
アラスカ 8202ドル
ニュージャージー 7298ドル
コネティカット 6933ドル
コロンビア 5591ドル
ミズーリ 5024ドル
イリノイ 4570ドル
デラウェア州は、 人口は約80万人程度で、日本で言えば中核都市レベル。州内で事業を行わない場合には、州税がないためにフォーチュン500の企業のうち6割以上が本社を置いているとされる。そのためか、1事業者あたり負担税額が1万5843ドル(約190万円)に上ると見積もられている。